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片頭痛薬の勉強会

2023.01.24

先日、片頭痛治療薬レイボーの勉強会をしました。片頭痛は芥川龍之介の小説「歯車」にも特徴的な閃輝暗点の症状が出てきますが、視覚性過敏や聴覚過敏、嘔気などの前駆症状を伴うことが多いのもこの疾患の特徴です。この1-2年で片頭痛の発症抑制薬として注射剤など新しい治療法が出てきていたのですが、急性期治療薬もまた新しい薬が出てきています。もちろん脳血管障害や腫瘍性疾患、我々の領域である側頭動脈炎といった二次性の頭痛を除外した上で片頭痛の診断の下で使用されます。

現在の急性期片頭痛治療薬の主流は通常の痛み止めやトリプタン製剤ですが、トリプタンには頭痛の原因物質が出るのを抑制する際に、一緒に血管にも作用して血管を収縮させる作用があるため、頭痛をいったん抑制できても、高率で頭痛の再発や内服後の不快感、血管収縮作用などの副作用が知られていました。

レイボーは片頭痛発作を引きおこしている脳のセロトニン受容体という部位に直接働きかけ、片頭痛発作の症状を和らげると考えられています。レイボー服用後にめまいや眠気といった副作用が生じる可能性があるため、機械の運転は避けなければいけません。今回学習したレイボーは血管収縮作用が少ないため、これまでトリプタン系のお薬が使えず、片頭痛が辛いけど自分に合う頭痛薬がないという悩みを抱えていた患者さんには期待できると思います。外来では意外と多い片頭痛についてあらためて勉強し直すことができました。