ブログ

2023年01月のブログ記事一覧Blog

鎮痛薬ツートラムの勉強会

2023.01.27

この数日とても寒いですね。近所のお宅の屋根につららができていました。

寒くなると関節痛がひどくなる方もいます。今回は持続性鎮痛剤ツートラムの勉強会をしました。一般的に使われることの多い痛み止めの成分とは異なり、トラマドールという成分でできています。トラマドールは基本的に短時間作用のため1日4回とか内服することが多いですが、ツートラムは速効成分と徐放成分を組み合わせることで半日程度は鎮痛効果が持続するようにできています。1日2回「ツー」内服するということで「ツートラム」らしいです。

トラマドールの内服当初にみられやすい嘔気や便秘といった副作用ですが、1週間程度内服することで副作用症状は落ち着いてくることが多いので、少なめから始めて少しずつ痛みに応じて用量を増やすのがよさそうです。立ち上がりは鋭く、ゆっくり長く効いて欲しいなー、という方に向いていると思います。

片頭痛薬の勉強会

2023.01.24

先日、片頭痛治療薬レイボーの勉強会をしました。片頭痛は芥川龍之介の小説「歯車」にも特徴的な閃輝暗点の症状が出てきますが、視覚性過敏や聴覚過敏、嘔気などの前駆症状を伴うことが多いのもこの疾患の特徴です。この1-2年で片頭痛の発症抑制薬として注射剤など新しい治療法が出てきていたのですが、急性期治療薬もまた新しい薬が出てきています。もちろん脳血管障害や腫瘍性疾患、我々の領域である側頭動脈炎といった二次性の頭痛を除外した上で片頭痛の診断の下で使用されます。

現在の急性期片頭痛治療薬の主流は通常の痛み止めやトリプタン製剤ですが、トリプタンには頭痛の原因物質が出るのを抑制する際に、一緒に血管にも作用して血管を収縮させる作用があるため、頭痛をいったん抑制できても、高率で頭痛の再発や内服後の不快感、血管収縮作用などの副作用が知られていました。

レイボーは片頭痛発作を引きおこしている脳のセロトニン受容体という部位に直接働きかけ、片頭痛発作の症状を和らげると考えられています。レイボー服用後にめまいや眠気といった副作用が生じる可能性があるため、機械の運転は避けなければいけません。今回学習したレイボーは血管収縮作用が少ないため、これまでトリプタン系のお薬が使えず、片頭痛が辛いけど自分に合う頭痛薬がないという悩みを抱えていた患者さんには期待できると思います。外来では意外と多い片頭痛についてあらためて勉強し直すことができました。

ジクトルテープの説明会

2023.01.16

今日は久光製薬さん「ジクトルテープ」の薬剤説明会がありました。消炎鎮痛の貼付剤なので、通常の湿布薬とどう違うの?と思いがちですが、これはジクロフェナク(ボルタレン)の経皮吸収性剤、つまり全身に作用する痛み止めだそうです。

適応によって用量が異なり、がん性疼痛であれば1日1回2枚から開始し3枚/日まで増量可。腰痛症などでは、1日1回、最大2枚まで、となっています。

ちなみにジクトルテープ3枚(計ジクロフェナク225mg)はボルタレン25mg4錠(100mg)に相当するそうです。ジクトルテープのよい適応としては、痛み止めを内服したいけど、内服すると胃腸症状が出やすい患者さんや、内服自体が困難な方です。もちろん内服薬ほどではありませんが、経皮吸収剤でも量が増えれば胃腸症状や腎機能障害は出現しますので、使用量には注意が必要です。欠点としては即効性は乏しいことなので、急な痛み止めとしては使いづらいですが、慢性的な疼痛で困っている方にはよいのではないでしょうか。

ロコアテープは局所作用型、ジクトルテープは全身作用型の貼付薬ですので、それぞれの利点を考慮して使い分けするのがよいでしょう。くれぐれも通常の湿布薬とは異なることを患者さんには十分説明して、適応を考えて適切に使用するとよいかと思いました。

今日は19時からFM大分でハイカラ食堂のon airがあります。お時間のある方はどうぞ。

一年の計は元旦にあり

2023.01.01

1年は365日。3650日で10年。では1万日は?およそ27年です。27年後は私も77歳。平均寿命は男性が81歳、女性が87歳とはよく知られていますが、健康寿命という言葉はあまり知られていません。

日常生活に制限のない状態を意味する「健康寿命」は、男性が72歳、女性が75歳です。すなわち男性は9年、女性はなんと12年間も、人生の最晩年を「日常生活に制限のある」状態で過ごしているのです。認知症や衰弱、脳血管障害など原因は様々ですが、介護が必要となる原因の約1/4は骨折や転倒による運動器の障害によるといわれています。特に背骨の圧迫骨折や大腿骨の骨折は寝たきりに直結しうるので、健康なうちから骨折しないためのケアが必要です。

圧迫骨折の原因となる骨粗鬆症は女性に多く、更年期から閉経の時期を境に骨量が減少することが知られています。自覚症状がないからこそ、健康だと信じている現在の自分の骨量を知っておくことが重要なのです。皆さん、骨密度って実際に測ったことありますか?骨粗鬆症なんて自分と関係ないと思っていませんか。私もそう思っていました。クリニックに骨密度測定機を導入して骨密度を測ってみるまでは…。

2023年版の自分の骨量を知っておくことで、数年後に改めて骨量を測定した際に骨量が低下していれば、それに応じた対策を早めに取ることができます。まさに「転ばぬ先の杖」です。では骨密度ってどうやって調べるの?検査にいくらぐらいかかるの?という話はまた今度。当院では骨粗鬆症の検査と治療にも積極的に取り組んでいます。

健康というのは身体の様々な恒常性によってなんとか均衡を保っていることですので、健診にひっかかったり、気になる不調などございましたらお気軽にご相談ください。

クリニックの診療は1月4日からです。

皆様にとって素晴らしい年となりますよう、本年もよろしくお願いいたします。

リウマチ科・内科・婦人科 はまさきクリニック
リウマチ・内科・骨粗鬆症など担当  濵﨑 一