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抗原検査はいつするのがよい?
2023.12.08
朝晩の寒暖差のためか、風邪症状の方が増えてきました。
当院では発熱で受診される際、コロナとインフルエンザの
同時抗原検査の希望を伺っています。
コロナは以前ほど流行ってませんが、インフルエンザは
かなり流行しています。またアデノやマイコプラズマでも
咽頭痛や咳症状が出るので、適切な対応が必要です。
患者さんからすると一刻も早く診断してほしいでしょうが
症状が出てから間がないと陽性にならないことがあります。
抗原検査の陽性感度は発症早期では6割程度といわれます。
発症して12時間未満では、抗原検査の感度が低い傾向にあり
12〜24時間経過すると感度が上昇すると報告されています。
ある程度時間が経つと感度が上がるので、抗原検査自体は
熱が出始めて半日程度は待った方がいいかなと思ってます。
一方、インフルエンザ治療薬は、ウイルスを殺す作用はなく
ウイルスの増殖と、体内での拡散を抑えてくれています。
ですので、抗インフルエンザウイルス薬は発症後できるだけ
速やかに服用を開始することが重要です。
症状と経過(悪寒や関節痛など)、それとのどの奥をみて、
インフルエンザで矛盾しないときは治療を優先しています。
最近では、喉の奥を専用のカメラで撮影して、AIで診断する
キットも保険適用になったようです(当院は未採用です)。
抗原検査で診断を確定したい気持ちは十分理解できますし、
こちらも納得して頂いて処方が出せるのですが、早すぎると
陰性で診断してしまうこともあり、悩ましいですね。
最終的にインフルエンザなどウイルス性疾患に対抗するのは
自分自身の免疫力ですので、風邪症状の際には保温と安静
栄養と休養が重要です。
年末年始は、忘年会や帰省など集まりが多くなる時期ですが
感染予防に留意し風邪の際は早めの対応を心がけて下さい。
肺炎球菌ワクチンについて
2023.12.03

はまさきクリニックの隣に広い公園があるのですが、
木々の落ち葉が目立つようになりました。
今回は高齢者の肺炎球菌ワクチンのお話をします。
年齢を重ねると身体機能が衰え、病気に対する免疫力も
低下しがちです。寒暖差が大きいとなおさらです。
年を重ねること、そして持病をもっていることは、肺炎の
大きなリスクになることが知られています。
高齢になると、ふとした風邪から肺炎を起こすことがあり
急激に症状が悪化することもあります。
肺炎は予防の取り組みが重要な、軽視できない病気です。
肺炎球菌ワクチンは、すべての肺炎を防ぐものでは
ありませんが、肺炎の重症化を防ぐことができます。
高齢者肺炎の主な原因である肺炎球菌感染を予防することで
基礎疾患のある方やご高齢の方の肺炎重症化や敗血症などの
合併症をふせぐことができます。
肺炎球菌ワクチンは原則「65歳」の方が定期接種対象です。
これまでは、肺炎球菌ワクチン(23価:ニューモバックス)の
定期接種対象年齢(65歳から5歳きざみで100歳までの方)で
接種されたことのない方に経過措置が設けられていました。
令和5年度(2023年度)つまり来年"2024年の3月末まで"で
この経過措置が終了になります。
大分市では接種費用の助成により3500円で接種できます。
肺炎球菌ワクチンを接種されたことのない
65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳!!
の皆様、この機会に肺炎球菌ワクチン接種をお勧めします。
それ以外の年齢の方も、お気軽にご相談ください。
開院して1年経ちました
2023.12.01
今日から12月ですね。
早いもので、今年も残すところあと1ヶ月となりました。
昨年12月に開院して、無事に1年を迎えることができました。
地域に貢献できるクリニックを目指して、試行錯誤しながら
無我夢中で、本当に、あっという間の一年でした。
開院までの準備期間も未知の経験をたくさんしましたが、
開業後たくさんの患者さんと交流することによって、学び
新たな気づきが得られた、貴重な経験ができた1年でした。
行き届かないことも多々あり、ご迷惑をおかけすることも
あったと思います。大きなトラブルなくここまでこれたのも
温かく見守ってくださった患者さんのお力添えや、献身的に
働いてくれたスタッフのおかげです。深く感謝致します。

当院のホームページには「一人ひとりに寄り添った医療を」
と掲げてあります。この目標に少しでも近づけるように
これからも地域の方々に信頼される医療が提供できるよう
全力で取り組んで参ります。
クリニックを支えて下さっている患者さん、業者の方々、
スタッフの皆さん、そして私の家族に心から感謝致します。
今後とも、当院をよろしくお願い申し上げます。

ほね大事!チョー大事!
2023.09.20
9月28日(木)は午後2時半から午後4時半まで院長不在です。
ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします。
先週末は連休でしたね。僕はガラスクリーナーなど買ったり
クリニックのいろいろ雑用をしようと計画していたのです。
が…

ちょっとした不注意で転倒してしまい、このありさまです。
一晩様子見たけど腫れが引かないので病院受診しました。
絶対ホネ折れたかなーと思ってましたが大丈夫そうでした。
うん、大丈夫。若干怪しいとこあるみたいですけど。
レントゲンでもはっきりした骨折はないのでシーネ固定。
休日にも関わらず丁寧に診療してくださったT先生、
スタッフの皆様、本当に本当にありがとうございました。
整形外科医ってやっぱりかっこいいなーと思いました。
負傷中ですが、はまさきクリニックは通常診療しています。
安心して受診して下さい。
片手でキーボードをポチポチしてるので若干遅いですが
いつもよりすこしもたつくていどです。
ということで、受傷経過を見て頂く予定ですので
不定期ですが木曜日午後は、院長不在気味です。
病院受診が終わり次第診療します(ややこしいね)。
ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします。

ヘルペスの治療法について
2023.09.04
東大道でリウマチ科内科・婦人科の診療を行っています。
はまさきクリニックの院長です。こんにちは。
単純ヘルペスの治療法について院内勉強会をしました。
口唇ヘルペスや性器ヘルペスにかかったことありますか?
ぼくは経験がないのですが、忙しかったり、ストレスが
かかったり、体力が落ちたときなどに出るそうですね。
ヘルペスとはウイルス感染によって小さな水ぶくれができ
炎症を起こしている状態のことです。
ヘルペスは、身体のどこにでも感染する可能性があります。
ギリシャ語で「這う」という意味のHerpesに由来してます。
口唇ヘルペスは内科でも外来で相談されることがあります。
婦人科では、性器ヘルペスの相談をされることもあります。
これらは単純ヘルペスウイルス(HSV)により発症します。

単純ヘルペスは一度治ったら終わり、ではありません。
ウイルスが神経節に潜んでいるので、体調を崩したり
ストレスや月経、妊娠の際に再発することがあります。
再発時には、ピリピリとした刺激や痛みが出現します。
何度も再発を繰り返す方は、出る兆候がわかるそうです。
そんなときは、抗ヘルペス薬を内服することで、
次の再発を遅らせることができます。
何度も再発する場合には、再発抑制療法が行われます。
これはバルトレックス®︎(バラシクロビル)を1日1錠、
1年を目安に内服し続ける方法です。
一方で、再発した時だけ、手元にお薬があったらなー、
と思ったことはありませんか?そんな治療法あるんです。
これは、PIT療法といって再発の時に備え、あらかじめ
抗ヘルペス薬を処方してもらっておく治療法です。
受診時に症状がなくても、予めPITとして処方できます。

"PIT"とは Patient Initiated Therapy の略です。
患者さんが再発を自分で判断して内服する方法です。
あらかじめ処方されたお薬を、再発の症状が出てから
「6時間以内」に内服します。
ピリピリするような初期症状が出てから6時間以内です。
皮疹(水ぶくれ)が出てからではありません。
PITの選択肢は2種類あります。
ファムビルは初回に4錠、12時間後に4錠の計8錠を
内服します。

今回学習したアメナリーフは6錠を1度だけ服用します。

ファムビルとアメナリーフでは、薬価に差があります。
PITで処方する場合、患者さんが3割負担だと
・ファムビル:約700円
・アメナリーフ:約2,200円 かかります。
薬価だけで比較するとファムビルがよさそうですけど、
1回の服薬だけで済むんだったらアメナリーフですし、
1回きりで済ませるか、2回飲むけどコスパ重視か、
どちらか選択してはいかがでしょうか。
妊娠している可能性のある患者さんは、内服する前に
婦人科を受診して内服の可否を相談してください。


早寝早起きしてみよう
2023.08.12
みなさんこんにちは。
大分市東大道でリウマチ科・内科・婦人科診療をしている
はまさきクリニック の内科担当です。
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みなさん、お盆はいかがお過ごしですか。
はまさきクリニックは8月13日から15日(火)までお休みです。
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今回は院長が早起きらしい、という超個人的な話です。
なぜ早起きの話をするかというと、さっきネットでみて
9月3日は「秋の睡眠の日」だと知ったからです。
9と3で「9(ぐっ)3(すり)」と読む語呂合わせから。
その前後1週間は睡眠啓発のための 睡眠健康週間 です。
世の中って、けっこういい加減なんだなと実感します。
そう、ぼくは早寝早起きです。
というより夜遅くまで起きていられないです。
夜になると「みんな早く寝ろー!おじさん」に変身します。
子供より早く寝ます。秒で寝れます。そして早く起きます。
朝の2時か3時には目が覚めます。朝というか、深夜ですね。
奥さんからは「カブトムシみたい」と言われます。
そっと起きて本を読んだりネットしたり、駄文を書いたり。
その日の計画を立てたりしてると、そのうち朝になります。
カブトムシとの違いは、無駄に羽音を立てないことと、
朝から仕事があることです。
この生活をもう30年近く続けています。
早起きするようになったのは二十歳を過ぎた頃からです。
早起き生活のきっかけは長くなるのでここでは述べません。
大したことじゃないけど知りたい人は外来で聞いて下さい。
超絶早起き生活だと、お昼頃に眠たくなることがあります。
そりゃそうですよね。
そのときは5分か10分、仮眠をとればいいのです。
早起きを長続きさせるコツは、あまり欲張らないことです。
朝ご飯までにやりたいことの3割できてたらいいか。
早起きできなかったときでも今日はよく眠れたからいいか、
と前向きに捉えることです。圧を感じたら続きません。
早起きはあくまで人生の余白なのです。
早起きして人生を変えようとか、徳を得ようとしないことが
長続きのコツじゃないかと思います。
だから早起きは三文の徳、なのだと思うのです。
たった三文だけ。ですが、確実に人生は変わりますよ。
もう立秋も過ぎ、これから徐々に日が短くなってきます。
皆さんもぜひ、いまのうちに早起きを試してみて下さい。

帯状疱疹ワクチン体験記
2023.08.11
帯状疱疹ワクチン、シングリックスの初回接種をしました。
みなさんと体験を共有したいと思います。
これまでコロナワクチンではほぼ副反応が出ませんでした。
なので帯状疱疹ワクチンも大丈夫だろうと思っていました。
8月7日の17時、診療終わりの頃に接種が完了しました。

特に目立った症状もなく、FM大分のハイカラ食堂に出演し
ワクチンのことをお話してきました。前回のブログを参照。
翌朝も激辛キーマカレー食べたり食欲が落ちることもなく
診療できてました。
昼頃からワクチン接種した左腕挙がらんなー、だるいなー
と感じつつ午後診療が終了。
スタッフさんたちが帰った頃に熱を測ったら37.2℃でした。

身体中がピリピリチカチカするわい、と思いつつ帰宅して
お熱を測ったらなんと!38℃になっていました。
20時から22時まできっかり2時間38℃を記録しました。

翌朝には平熱に戻り、左腕の痛がゆさが3日ほど残りました。
今回の経験から、熱が出ると仕事に差し障ることがあるので、
ワクチンは休日の前あたりで打つのがよいかと思った次第です。
あらかじめ解熱剤を持っておくとよいかもしれません。
2回目の接種が済んだらまた報告します。

帯状疱疹の話をするよ
2023.08.09
こんにちは。はまさきクリニック 院長のはまさきです。
関節リウマチ以外にも一般内科診療もしています。
婦人科は副院長の女性医師が担当しています(ここまでPR)。
8月7日のFM大分ハイカラ食堂(19:00~)にゲストとして
お話させて頂きました。
8月10日 17:00までストリーミング放送で聴けるようです。

その日、帯状疱疹ワクチンを打ったばかりだったので
帯状疱疹ワクチンのお話をしました。
帯状疱疹自体はそんなに珍しい病気ではないです。
体力が低下したり、加齢や強いストレスにさらされて
免疫力が低下した際に発症することが多いです。

皆さん、水疱瘡(みずぼうそう)にかかったことありますか?
ぼくはあります。確か幼稚園か小1のときだったかな。
では帯状疱疹は?外来で意外と遭遇することが多い疾患です。
帯状疱疹になった方は皆さん、大変だったよーといわれます。
帯状疱疹はあの"みずぼうそう"のウイルスが原因です。
成人の90%以上はすでに帯状疱疹の原因となるウイルスが
体内に潜んでいるそうです。
帯状疱疹は50歳以上で発症しやすく80歳までに3人に1人!
がかかるとされています。
一度かかった方でも再発することも少なくありません。
帯状疱疹はワクチンを接種することで予防が可能です。
帯状疱疹ワクチンには生ワクチンと不活化ワクチンがあります。
生ワクチンはウイルスの毒性を弱め病原性をなくしたものです。
ウイルスとしての性質はもっているので免疫力の低下した方や、
免疫抑制薬や生物学的製剤など免疫に関わる薬を使用している
患者さんには生ワクチンは投与できないのです。
生ワクチンは1回の接種で5年間に半数強の方の発症予防が
できますが、不活化ワクチンでは約10年間で9割以上の方の
帯状疱疹発症予防ができるようになりました。
今回接種したのは、その不活化ワクチンと呼ばれるものです。
シングリックスといいます。

日本では2020年にシングリックスが接種可能となりました。
このワクチンは病原性をなくしたものを材料としています。
これだと免疫が低下した方でも安全に投与できます。
1回の接種では十分な免疫を獲得することができないので、
2ヶ月以降から半年までの間にに2回目を打つことで、
帯状疱疹予防に必要な免疫力をつけることができます。
関節リウマチなどの基礎疾患をもっている若い患者さんで
ときおり帯状疱疹にかかる方もいらっしゃるのですが、
帯状疱疹ワクチンはこれまでは50歳以上という年齢制限が
あったため、ワクチンを接種することが難しい状態でした。
ワクチン接種の適応年齢から外れる方に接種すると、
ワクチン救済制度という条件から外れてしまうのですね。
それが今年2023年6月、発症リスクが高い18歳以上という
適応拡大がなされたので18歳以上の必要な方にワクチンを
接種することができるようになりました。
費用面では、生ワクチンが1回だけでおよそ8000円前後です。
一方、不活化ワクチンのシングリックスは1回2万円~3万円!
高額です。しかも2回打つので合計が4-5万円かかります。
でも実際に帯状疱疹にかかるとお薬の値段も高いんですよ。
それにひどい帯状疱疹だと入院が必要になることもあります。
帯状疱疹後神経痛という慢性痛で通院するリスクを考えると
少なくとも今後10年は9割以上で予防できるんだったら
打ってたほうがいいのかな、と個人的には思っています。
僕がいま使っているiPadも44000円で購入したんですけど、
10年使えるか、っていわれたらもたないですし。
そう考えると10年は効果が持続するワクチンって
結構コスパは高い気がします。
帯状疱疹の予防接種費用の個人負担を軽減するために
助成金を導入している自治体もありますので、
詳しくはお問い合わせ頂ければと思います。

重要:電話再診の終了について
2023.07.12
こんにちは。はまさきクリニック院長です。
今回は、「電話で処方が出せるのは7月末までなんですよ」という大切なお知らせです。
昨年12月に開院して以来、定期診療をされている方で電話での診察が可能と判断した場合には、電話で病状を伺って再診をおこなっていました。いわゆる「お薬がなくなっちゃうんだけど、どうしても受診できなくて…」というあれです。
これは「新型コロナウイルス感染症にかかわる診療報酬上の臨時的な取り扱いの特例措置」によって可能な対応でした。そう、「特例」だったのです。この特例措置は令和5年7月31日をもって終了すると、このたび厚生労働省より通達がありました。これはうちだけじゃなくて、どの医療機関も同様です。
コロナ以前は対面での診察による処方が絶対で、電話で処方出すなんてとんでもない!という時代がありました。じゃあオンライン診療にすればいいじゃん?と思われるかもしれません。しかしオンラインで診察するには、お互い同時刻に、示し合わせてセーノでネットにつながる必要があります。薬局さんも同様です。処方は?会計は?アプリ導入?手数料いるの?など患者さんにも余計な負担をかけてしまいます。なにより自分たちがついていけていません。
現在、当院の患者さんでなかなか頻回の受診が難しい方には2ヶ月処方とかで対応しているんです。それがオンラインとかになったら、4ヶ月!? 年に3回しか会えなかったら顔を忘れられちゃうじゃん、と思っているのでうちではまだオンライン診療の導入予定はないのです(そうか、画面を通して顔は見られるな)。でもですね、特に関節リウマチ診療は、検査値だけでなく実際に関節を触ることで得られる情報がとても多いのです。
というわけで、電話再診による処方箋発行は令和5年7月31日をもって終了とさせていただきます。8月1日から処方箋発行については、従来どおり対面での外来受診していただきますようご理解とご協力をお願いいたします。

貧血について
2023.06.04
貧血の治療薬について、院内で勉強会をしました。
婦人科の疾患で、過多月経(生理の量が多い)や子宮筋腫の方は
慢性的な鉄欠乏性貧血を生じやすい傾向にあります。
血液中の酸素を運搬するヘモグロビン値が低下して貧血になることで、
ふらつきや倦怠感の原因となります。
鉄欠乏性貧血の原因としては
・鉄が失われて貧血になる(生理、出血など)
・鉄の利用増加(成長期思春期、妊娠中など)
・鉄の摂取量・吸収量が不足(胃切除後、拒食、腎不全など)
の3つに大きく分類されます。

過多月経では婦人科的治療を行いつつ、平行して貧血治療にも対応します。
一般的な貧血の治療薬には、クエン酸第一鉄(フェロミア錠®)があります。
1錠数円と安価でよい薬です。
しかし鉄剤は気分が悪くなって飲めないという患者さんもいらっしゃいます。
その場合、次の手としてリオナ錠®という鉄欠乏性貧血治療薬があります。
もともとは慢性腎臓病の高リン血症治療薬(クエン酸第二鉄水和物)ですが、
鉄剤にありがちな悪心・消化器症状が出にくい薬剤です。
1日1回2錠内服することで、フェロミア錠と同等の貧血改善効果が得られます。
薬価は1錠74円(1日2錠:3割負担で44円/日)とフェロミアに比べ少し高価です。
鉄剤が飲めずに市販のサプリメントで対応していた方にはよい適応かと思います。
それでもやっぱり内服はムリ!という貧血の方には、注射製剤を用います。
フェジンという注射を連日で投与してますが、1回のみでは効果が限定的です。
何度も病院に来て、都度注射をする必要がありました。
貧血がひどいけど鉄剤内服ムリ! できれば注射回数も少なめ!で済ませたい方に。
2020年にフェインジェクト、2023年3月にモノヴァーという点滴薬が登場しています。
糖鎖にくるまれた鉄が細胞に取り込まれたのちに、ゆっくり分離し鉄補給されます。
そのため1、2回の点滴で高用量の鉄を補給可能となり長期間貧血が改善されます。
慢性腎不全に伴う「腎性貧血」や、免疫の異常などで生じる「溶血性貧血」、
骨髄機能異常の「再生不良性貧血」等では鉄補給で改善しないことがあります。
長く続く貧血の場合、鉄不足以外の原因を疑う必要があります。
貧血のような症状が続く場合は、一度検査を受けてみることをお勧めします。
